シリコンバレーの成功の要因

5,6年前からお手伝いをしているSBI大学院の仕事でシリコンバレーを訪問してきました。現地視察をする他の皆さんの例に漏れず、現地の有名企業を訪問したり、グッズを買ったり、スタンフォード大学を見学したり、いわゆる”ベタ”なことをしてきました。
その中でも一番有益だったのが、現地で起業しているベテラン経営者のお話でした。

その方のお話の中で「シリコンバレーは世界中どの場所でも再現はできない。なぜなら歴史とDNAが違うから」ということでした。この方がおっしゃるには、「シリコンバレーの根底には、ゴールドラッシュ時に”一攫千金”を狙うDreamerが世界中から集まった。彼らは家財道具を捨て、身一つで”一発当てる”ためにこの地に集まったCrazyな奴らばかりです。そのDNAが脈々と受け継がれている。このCrazyなDNAとスタンフォード大学で養われるテクノロジーが掛け合わさって成功してきた。決して「気候が良い」という理由ではない。脈々と受け継がれた歴史があるから簡単に真似はできない。」ということでした。
シリコンバレーの成功要因を色んな方のプレゼンや本で読んできましたが、これほど納得のいく仮説を挙げられる方はいなかったので目から鱗が落ちました。

また、起業家としてシリコンバレーで成功するためには「技術」だけではなく、起業家自身の能力や人間性が重要であること。あわせて、Tier1のVCにいかに接触し投資してもらえるか、がポイントだというお話でした。皆さんがご存知のようにシリコンバレーのVCは序列が明確になっており、Tire1のVCは想像以上に力を持っているとのことでした。
その他にもアクセラレーターやインキュベーターのビジネスモデルの将来性、日本の大企業によるCVCの問題点、日本から来ているVCの現地での評判等の新鮮かつリアルな話しを聞くことができました。

いや〜、シリコンバレーは奥が深い!


SFO


スタンフォード大学
大学の敷地面積は杉並区と同じ広さらしい。キャンパス内がすごくキレイ。


クパチーノのappleHQ


インキュベート施設のPLUG AND PLAY
日本の大企業が沢山入居してる。


サンマテオはヨーロッパ風のショッピング街


南サンフランシスコのカフェ。ローカルに人気でご飯も美味しい。

2016年は上場審査が長期化

引き金はIPO銘柄の上場直後の下方修正

リーマンショック後のIPOの厳冬期は過去のものとなり、アベノミクス開始以降IPO市場は極めて堅調に推移している。
一方で、IPO社数の増加に伴い、その副作用も出ており、上場直後の業績予想の下方修正や社内管理体制の不備から横領等の不祥事も発生している。
2000年前後のITバブル時、2005年前後のライブドアショック前のIPOブーム時も同様の副作用が社会問題となり、その後の上場審査の厳格化によりIPO社数の減少につながっている。
今回も同様の流れになるのだろう。
2016年暦年のIPO社数は83社と、2015年の92社と比較して、9社減少した。加えて上場審査も長期化している。

 

全市場で審査期間が長期化

そこで上場審査がどれくらい長期化しているのか、2014年から2016年の3年間のデータを調査してみた。
調査方法は、新規上場企業の決算期末から上場日までの日数を集計した。サンプル数を多くするために上場承認を得たが上場を延期・中止したものも集計結果に含めている。

 

市場別に見てみると、東証、東証マザーズ、JASDAQともに2016年の上場日までの日数は2015年を上回った。また、過去3年間とも東証本則よりJASDAQの方が当該日数が長いのは意外だった。JASDAQに上場を目指す企業は、直前期末から上場日までほぼ丸1年時間がかかることを覚悟した方がよい。

 

主幹事別に見ると、2014年に最短の大和証券、2015年に最短の野村證券ともに、2016年は上位5社の中で当該日数を必要としたことが分かる。一方でSMBC日興証券は2015年、2016年と260日強でIPOさせており、上位5社で最短の結果となった。

 

予実管理に加えて労務管理が上場審査の大きな論点に

引き続き上場審査では業績予想の達成を申請期末ギリギリまで確認されている。また、電通をはじめとする過剰労働が社会問題化し、上場審査でも従業員の労働時間管理、残業代の支払い状況、労使協定の遵守状況が厳しく審査され、上場審査を受けている企業が苦労している。
上場を目指す企業は引き続き予算作成と予算統制の能力を高めるともに、「ベンチャーだから当然!」と考えている長時間労働の改善に取り組まないとIPOは難しい状況だ