Gobi Partners 花見イベントで感じた、東南アジアの熱気

Gobi Partners主催のピッチイベントが、東京・中目黒で開催され、プロジェクト・オーシャンも招待されて出席してきました。
Gobi Partnersは中国発のVCで、シンガポール、マレーシア、インドネシアにも拠点を構え、東南アジアのベンチャー企業(ITとデジタルメディア)への投資も行っています。中国・東南アジアあわせて150億円超のVCファンドを運営しており、大手の一角として存在感を示しています。

今回のイベントでは、Gobi Partnersの投資先である東南アジアの起業家が日本のVC・事業会社を前にピッチを行いました。日本の投資家との連携強化や、現地および日本でパートナーになり得る会社探しが目的です。

聴衆側には、Tech in Asia、THE BRIDGEといったメディアも参加。大手事業会社である住友商事・伊藤忠商事のベンチャー投資部門の方々もいらっしゃいました。東南アジアの有望な起業家を知り、連携強化することが狙いの模様。
開場からイベント開始までの30分は、早速ネットワーキングに当てられ、参加者約40名が盛んに名刺交換を行いました。私自身もGobi Partnersのスタッフ、および起業家から積極的に話しかけられました。日本のスタートアップのネットワーキングと較べるとかなり活発ですね。

イベントは、Gobi PartnersのパートナーKai Mok Ku氏のオープニングトークからスタート。東南アジアでのベンチャービジネスの盛り上がりに触れ、2016年に立ち上げた東南アジアのテックスタートアップ企業向けのファンドで積極投資を行っているとのこと。また、5-10年といった長いスパンで投資を行う投資ポリシーについても説明。オープニングトークの後は、9名の起業家による1人15分ずつのピッチ。

東南アジアの起業家、一言でいうと「アツい」です。

印象的だったのは、女性のライフイベントに特化したEコマースを中心とするNuren Groupや、食料品の生産者と飲食店・消費者を直接つなげるSupply Bunnyなど、生活を支えるサービスを展開するスタートアップです。

特にNuren Groupは面白く、Eコマースから事業を開始し、今では結婚式場との提携などブライダル全般に関わるオフラインチャネルへもサービスを展開しています。「東南アジア版ゼクシィ」といえば分かりやすいでしょう。さらに面白いところは、ブライダルだけに留まらず、その後に続く出産・育児というライフイベントに関する総合プラットフォームとして事業を伸ばしている点です。日本のゼクシィ含め、海外のプレイヤーにはない特徴ということでした。

ちなみに、CEOのPetrina Goh氏と会話したところ、彼女の出身地マレーシアの結婚式では、朝9時にレセプションが始まり、夕方6時までパーティーが続く、というのが一般的だそうです。ゲストの数も500人や、多い場合は800人(!)など、結婚式というものが非常に盛大なイベントとして扱われていることが分かり、日本マーケットとは違う形での市場の大きさが感じられます。
社会情勢の安定や、マーケットの成熟により生活水準が上がってきている東南アジアの人々の生活を、もっと豊かにしたいという熱意・情熱も大いに感じ取ることができました。

もう一つ印象的だったのが、起業家のほぼ全員が今後インドネシアでのビジネス展開に注力すると言っていたことです。
2億人を超える人口を持つ、世界最大のイスラム国インドネシアでは、近年インターネット環境の整備が急発展。インドネシア駐在の商社マンからは、数年前はジャカルタなど都市部でもネット接続の安定性なんてものは期待できない状況だったところ、最近ではかなり改善されており、また地方でもネットを使えるところが増えているそうです。特にモバイルデバイスの所有者数も増え、現在では世界4位。急成長する携帯でのインターネットアクセスが、テックスタートアップ系企業のビジネスを後押ししています。インドネシアは巨大かつ若い人口があり、インフラ整備が進めば今後もますますマーケットが拡大していきそうですね。


ピッチイベントのあとは中目黒界隈で花見をしつつ、ディナーへ。
ざっくばらんに話をしてみると、彼らの人柄もまた深く印象に残りました。優しく、知性に溢れ、何よりも気さくで明るい人が多かったです。
また、英語も流暢でネイティブ並のスピード、かつ訛りも感じませんでした。Facebookで友達になってみると、多くが海外の留学経験あり。日本でも英語教育の改善、海外留学の推進などにより、日本人も当然に英語を話せるようにするべきと感じました。

プロジェクト・オーシャンとしては、これからも彼らのように熱意と能力あるスタートアップのFAとして、東南アジア・日本をブリッジするような案件を作っていきます。また、東南アジアの起業家とのネットワークを深め、日本の起業家・投資家の皆さんにもどんどん紹介していきたいと思います。何かご相談があれば、いつでもお問い合わせ下さい!

シリコンバレーの成功の要因

5,6年前からお手伝いをしているSBI大学院の仕事でシリコンバレーを訪問してきました。現地視察をする他の皆さんの例に漏れず、現地の有名企業を訪問したり、グッズを買ったり、スタンフォード大学を見学したり、いわゆる”ベタ”なことをしてきました。
その中でも一番有益だったのが、現地で起業しているベテラン経営者のお話でした。

その方のお話の中で「シリコンバレーは世界中どの場所でも再現はできない。なぜなら歴史とDNAが違うから」ということでした。この方がおっしゃるには、「シリコンバレーの根底には、ゴールドラッシュ時に”一攫千金”を狙うDreamerが世界中から集まった。彼らは家財道具を捨て、身一つで”一発当てる”ためにこの地に集まったCrazyな奴らばかりです。そのDNAが脈々と受け継がれている。このCrazyなDNAとスタンフォード大学で養われるテクノロジーが掛け合わさって成功してきた。決して「気候が良い」という理由ではない。脈々と受け継がれた歴史があるから簡単に真似はできない。」ということでした。
シリコンバレーの成功要因を色んな方のプレゼンや本で読んできましたが、これほど納得のいく仮説を挙げられる方はいなかったので目から鱗が落ちました。

また、起業家としてシリコンバレーで成功するためには「技術」だけではなく、起業家自身の能力や人間性が重要であること。あわせて、Tier1のVCにいかに接触し投資してもらえるか、がポイントだというお話でした。皆さんがご存知のようにシリコンバレーのVCは序列が明確になっており、Tire1のVCは想像以上に力を持っているとのことでした。
その他にもアクセラレーターやインキュベーターのビジネスモデルの将来性、日本の大企業によるCVCの問題点、日本から来ているVCの現地での評判等の新鮮かつリアルな話しを聞くことができました。

いや〜、シリコンバレーは奥が深い!


SFO


スタンフォード大学
大学の敷地面積は杉並区と同じ広さらしい。キャンパス内がすごくキレイ。


クパチーノのappleHQ


インキュベート施設のPLUG AND PLAY
日本の大企業が沢山入居してる。


サンマテオはヨーロッパ風のショッピング街


南サンフランシスコのカフェ。ローカルに人気でご飯も美味しい。

速報 SnapchatがついにIPOへ

かねてより噂のSnapchatのIPOがついに証券取引所に承認され、公表されました。取り急ぎ、ポイントのみかいつまんでお送りします。1USDは112円で換算。

  • NYSE(ニューヨーク証券取引所)への上場、証券コードはSNAP。そのままですね。日本人的にはSMAPと間違えそう
  • 業績は2015年売上は59 million USD(66億円)、2016年が404 million USD(457億円)、2017年予想が1 billion USD(1,128億円)。ただし、利益は出ておらず真っ赤。2015年は373 million USD(420億円)の損失、2016年は515 million USD(580億円)の損失、と損が拡大。派手なお金の使いっぷり。尚従業員数は1,859人。
  • 過去の買収は、Lookseryに150.6 million USD(169億円)、Bitstripに64.2 million USD(72億円)、Vurbに114.5 million USD(129億円)を投入。アメリカでは大企業だけでなく、ユニコーンが買い手として機能していることがよくわかります。
  • 面白いのは創業メンバーで追放されたReggie Brown氏に絡む法廷闘争で157.5 million USD(177億円)もの費用を計上していること。さすが訴訟国家、アメリカ。
  • これまで総額2.63 billion USD(2,967億円)を調達しているが、それでも創業者グループで44.3%もの株式を保有。この資本政策は注目に値すると思われます。※今後、元資料にあたって詳細分析を行いたいと思います
  • バリュエーションは20-25 billion USD(2兆2,563億-2兆8203億円)と巨大。アリババとの比較では、168 billion(18兆9530億円)とこれは別格。

数値は参照元によって少し違う部分もあるので、後ほど修正するかも知れません。概要とご理解下さい。※間違いの指摘などは大歓迎です!

26歳のファウンダーEvan Spiegelは13%ほど保有。彼の持ち株評価額は3000億円ほどになる見込み!アメリカンドリーム。。。

 

参照記事
Snap has finally filed publicly for its massive IPO
https://www.wsj.com/articles/snapchat-parent-snap-inc-files-for-ipo-1486071371
http://www.cnbc.com/2017/02/02/snap-ipo-s-1-filing.html
http://www.usatoday.com/story/tech/2017/02/02/snapchat-parent-files-3-billion-ipo/97365708/

2016年は上場審査が長期化

引き金はIPO銘柄の上場直後の下方修正

リーマンショック後のIPOの厳冬期は過去のものとなり、アベノミクス開始以降IPO市場は極めて堅調に推移している。
一方で、IPO社数の増加に伴い、その副作用も出ており、上場直後の業績予想の下方修正や社内管理体制の不備から横領等の不祥事も発生している。
2000年前後のITバブル時、2005年前後のライブドアショック前のIPOブーム時も同様の副作用が社会問題となり、その後の上場審査の厳格化によりIPO社数の減少につながっている。
今回も同様の流れになるのだろう。
2016年暦年のIPO社数は83社と、2015年の92社と比較して、9社減少した。加えて上場審査も長期化している。

 

全市場で審査期間が長期化

そこで上場審査がどれくらい長期化しているのか、2014年から2016年の3年間のデータを調査してみた。
調査方法は、新規上場企業の決算期末から上場日までの日数を集計した。サンプル数を多くするために上場承認を得たが上場を延期・中止したものも集計結果に含めている。

 

市場別に見てみると、東証、東証マザーズ、JASDAQともに2016年の上場日までの日数は2015年を上回った。また、過去3年間とも東証本則よりJASDAQの方が当該日数が長いのは意外だった。JASDAQに上場を目指す企業は、直前期末から上場日までほぼ丸1年時間がかかることを覚悟した方がよい。

 

主幹事別に見ると、2014年に最短の大和証券、2015年に最短の野村證券ともに、2016年は上位5社の中で当該日数を必要としたことが分かる。一方でSMBC日興証券は2015年、2016年と260日強でIPOさせており、上位5社で最短の結果となった。

 

予実管理に加えて労務管理が上場審査の大きな論点に

引き続き上場審査では業績予想の達成を申請期末ギリギリまで確認されている。また、電通をはじめとする過剰労働が社会問題化し、上場審査でも従業員の労働時間管理、残業代の支払い状況、労使協定の遵守状況が厳しく審査され、上場審査を受けている企業が苦労している。
上場を目指す企業は引き続き予算作成と予算統制の能力を高めるともに、「ベンチャーだから当然!」と考えている長時間労働の改善に取り組まないとIPOは難しい状況だ